生命保険の調査員になって

トラック運転手だったころに事故にあって、そこで自動車保険(損保)の調査員の人と仲良くなってこの仕事を始めました。本当は該当者と仲良くなってはいけないんですけど、なんか気が合って調査が終わってから飲みに行くようになりました。相手方の言い分のおかしいところを的確に論破していって、結局9対1の過失割合にしてくれましたからね。そういうところが気にいってその人自身に興味を持ってしまったわけです。

それで派遣会社に登録して、まずは損保系の調査補助をする仕事に転職しました。そこでは自動車事故の現場検証などを行って過失割合を決めたり、相手方に飲酒がないかどうか、変な話になりますが危ないクスリをやっていないか、合法的な医薬品でも眠くなる成分が入っているものを飲んでいないかなど、どんな過失があるのかないのか徹底的に1つ1つしらみ潰しに調べていきます。

そこで2年ほど働いて正社員に登用されたのですが、正社員になると休日出勤も当たり前で報告書を書くために毎日深夜までサービス残業。正社員になると固定給+歩合給になるので、契約社員と違って時給ではないんですよねー 年収は200万円ほど増えましたが、家族と一緒に過ごす時間も無くなってしまったので比較的落ち着いて仕事ができる生保系の調査会社に転職したわけです。

損保の時は車内で血がついた跡などを見ることもありましたが、生保の場合は基本的に人が亡くなっているケースがほとんどです。そのため死亡診断書を書いている病院の先生とも仲良くなる必要がありますし、疑問に思ったことを質問しなければいけないのである程度の医学的知識も身についてきました。例えばお風呂で亡くなっていた場合、心筋梗塞で無くなったのか、がんの持病があってそれに伴う死亡なのかで保険金の給付額も変わってきます。給付金はいらないからと言って解剖を望まない遺族の方もいらっしゃいますが、、、

共同通信-2016年生命保険保全手続満足度調査

保険金請求の満足度は毎年調査されてランキングされます。この調査によって加入者も増減するため、保険調査員も迅速な対応を行って基本的に2日以内にレポートを提出する必要があります。フットワークの軽さも大事ですねー

不払いかどうかの審査

今の仕事でイチバンしんどいのが「保険金を渡せるかどうかの審査」。例えば、健康状態が悪いのにだまっていて保険に加入していたんじゃないか、とか、本当はタバコ吸ってるのに禁煙割引を申請してきてるんじゃないかとか。加入者さんを疑うとキリがありませんし、その度に精神的に病んでしまいます。

ただ、まだ加入者さんに非があるのであれば仕方ないで済みますが、営業部隊が契約取るために推奨しているケースが過去に何度もありました。例えば、企業に飛び込み営業して分煙システムが整備されていないのにもかかわらず、本人が吸っていないという申告をするだけで禁煙割引の料率で加入してきたり。

聞き取りの段階で数年前に医師から手術を薦められていたのにも関わらず、わざわざ他の病院で手術の必要性がないという診断書を持っていて、しかもそのすべてを営業担当が把握していた場合などです。中には、「問題ない」としか診断書を出さないクリニックを紹介するような悪質なケースもありました。。。

保健学会-告知妨害

こんなことがあるとちゃんと健康状態を申告している他の契約者さんに不公平な負担をかけることになりますし、保険金の不正受給にもつながります。問題の本質は営業が歩合制を取っているからなんですが、うちの会社では違反営業してもほとんどペナルティはありません。

というのも、加入者さんが保険金を請求することってかなり少ない事例なんですよね。万が一、という言葉をよく聞くと思いますけど、保険期間中に亡くなる方は10%もいません。なので、残りの90%以上の方はどんな状態であれ保険に加入していてくれると保険会社としては儲けにつながるのです。なので、自分みたいな調査員が必要なんだと思いますけど必要悪なのですかねー

こないだのドラマ

こんにちは。元トラック運転手で今は保険会社の調査員をやってるものです。こないだテレビ東京で保険調査員のサスペンスやってたんですけど、実際の現場はもっとドロドロしてることもあります。。。殺人を疑うのはあたりまえで、契約者さんの家族に協力してもらって服用している薬なども調べることがあります。

保険犯罪調査員 佐伯初音 空白の起点

サスペンスの内容は人殺しの疑いを避けるために、他人を保険金の受取人にしてしまうというものでしたが、実際の調査ではまずそういうことはありませんし先輩からも聞いたことはありません。ただ、自殺に関してはけっこう社内でも意見が分かれてしまうところで、免責期間を過ぎていても明らかに保険金目的で他社にも加入していることが分かればご家族に話を聞くことになります。

そして、精神科に通っていたのであれば抗鬱状態がどの程度であったのか、指針高弱によって何も考えずに死を選ぶ可能性があったのかを聞き取ります。たとえば、何かのために複数の保険契約をしていたとしても、会社をクビになったとか取り返しのつかない失敗をしてしまったとか、そういうことが直近であったかどうかなども支払い基準に影響してきます。

保険の調査は複数人チームでやって、会議で報告して会社に報告書を提出します。是非についてきっちり書く必要があるので、けっこう大変な仕事ではありますがたまに告知義務違反とか見つけちゃうと寂しいというか、精神的な負担を強いられてしまうのでけっこう辛い仕事とも言えます、保険調査員の仕事は。